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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻8号

1998年08月発行

文献概要

研究

経錐体骨到達法を行う上で注意すべき静脈路—術後の静脈環流障害を予防するために

著者: 山上岩男1 平井伸治1 山浦晶1 小野純一2

所属機関: 1千葉大学脳神経外科 2千葉県循環器病センター

ページ範囲:P.699 - P.707

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I.はじめに
 頭蓋底手術法のひとつである経錐体骨到達法transpetrosal approach(以下TPA)を用いることにより,斜台部や脳幹腹側の病変に対する手術が比較的安全に行えるようになっだ3,6,15,18,19).一般に頭蓋底手術にともない血管性合併症は5-18%に発生する2,16,24).しかし血管性合併症の原因は,ほとんど動脈性であると考えられ,静脈性合併症は注目されることが少なかった2,3,16,18,24).TPAについても,静脈性合併症を来たしにくいことが特徴とされ3,6,15,19,23),合併症予防の観点から,静脈について検討した報告は稀である4,7,20).digital subtraction angiography(DSA)装置のなかった頃,われわれはTPAにより静脈性梗塞を来たした1例を経験し,TPAによる静脈環流障害の重要性に気づいた.静脈性合併症を予防するため,現在われわれはTPAによる手術を予定している症例には,術前にDSAを用いた静脈路の検討を行っている.TPAでは,上錐体静脈洞横断・中頭蓋底硬膜やテントの切開・S状静脈洞圧排などが行われることから,上錐体静脈洞・横静脈洞・S状静脈洞(以下STS)合流部付近の静脈路が重要と考えられる.今回はTPAによる静脈性梗塞の1例を報告し,15例のDSAによる脳血管写を用いて,TPAを行う上で注意すべきSTS合流部付近の静脈路の特徴について検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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