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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻9号

1998年09月発行

文献概要

総説

モヤモヤ病に対する間接的血管吻合術

著者: 松島善治1

所属機関: 1東京医科歯科大学脳神経外科

ページ範囲:P.769 - P.786

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I.はじめに
 1990年に私は本誌で「脳血管の間接的吻合術」という総説を書かせていただいた44).その後も更に,様々な間接的血管吻合術が,主としてモヤモヤ病の手術として報告されてきた.そして,現在ではTable 2で示すような数多くの手術が,モヤモヤ病の手術として挙げられている.これらの手術は何れもそれぞれ特徴があり,有効であったとされている.
 1997年の厚生省特定疾患ウイリス動脈輪閉塞症調査研究班の報告書によれば,1996年までに登録されたモヤモヤ病確診例885例に対して行われた血行再建的治療法はTable 111)に示すとおりで,直接法が168例,間接法が305例,両者を併用した混合法が173例,非手術例が239例であった.すなわち,年々増加の傾向を示している間接的血管吻合術が,現時点で直接法のほぼ2倍に達しているのが現状である.ちなみに前年の同じ報告書の大韓民国のモヤモヤ病の調査21)では95.3%に間接的血管吻合術が行われている.このように,脳の間接的血管吻合はモヤモヤ病の乏血状態に対する治療法として,確固たる地位を築いたと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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