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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻9号

1998年09月発行

文献概要

研究

脳腫瘍患者の入院中および治療後の情動反応からみたQOLの変化

著者: 鈴木龍太1 平尾元尚2 三代貴康1 長島梧郎1 藤本司1 大嶋明彦3 樋口輝彦3

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院脳神経外科 2昭和大学藤が丘病院精神神経科 3早稲田大学文学部

ページ範囲:P.795 - P.801

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I.はじめに
 脳腫瘍と診断されることは,その患者にとって大変なストレスである.脳神経外科医は患者に神経学的症状を残さず治療し,その患者が社会復帰を果たし,高いquality of life(QOL)を維持してほしいと望んでいる.実際医療技術の進歩によって神経学的症状を殆ど残さずに治療できる例も多くなり,患者の社会復帰率も高くなっていると考えられる.しかし退院時に元気に退院した患者が,社会復帰後に外来で診察をするとそれほど満足そうに見えないことをよく経験する.このことは脳腫瘍患者が社会復帰後にもストレスを抱えた生活を強いられていることをうかがわせ,社会的サポートの必要性を感じる.しかし現在わが国では満足できる社会的サポート体制が出来ておらず,脳腫瘍患者がより高いQOLを得るためには病態を最もよく把握している脳神経外科医が中心となって努力しなければいけないと考える.しかし脳腫瘍患者のサポートを考慮したQOLに関しての研究はわが国では未だ行われていない.今回脳腫瘍患者の自覚的健康度,神経症の有無及び情動反応を入院中と社会復帰後に測定し,その変化を検討することによりより高いQOLを得るための一助にしようと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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