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研究
肩甲挙筋などの関与した痙性斜頸に対する末梢神経遮断術—頸髄神経前枝を含めた神経遮断
著者: 平孝臣1 光山哲滝1 岡見修哉1 米山琢1 今村強1 伊関洋1 高倉公朋1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.25 - P.31
文献購入ページに移動痙性斜頸のうち錐体外路性といわれるものは,頸部の筋肉が種々の組み合わせで異常収縮をおこして症状を呈する3,9,15).最も一般的な型は一側の胸鎖乳突筋と対側の板状筋などの項部筋の収縮による水平性斜頸(horizontal torticollis)であり,このような場合には副神経の胸鎖乳突筋枝とC1からC6の頸髄神経後枝の末梢神経遮断術により症状は著明に改善することが知られている1-4,21).これに対して,頭部が側屈したり肩の挙上を呈する痙性斜頸(rotatory type, laterocollis)では一側の半棘筋や板状筋ばかりでなく,しばしば脊髄神経の前枝によって支配される肩甲挙筋や斜角筋が関与しており14,22),理論的には従来の脊髄神経後枝の遮断では解決できない.筆者らはこれまでに13症例で従来の選択的末梢神経遮断術を行ってきたが,このうち3症例で肩甲挙筋など脊髄神経前枝が支配する筋の異常収縮による症状を認めた.このような例への治療はいまだ確立されておらず,頸髄神経前枝の支配筋に対する選択的神経遮断の報告も見られない.今回これらの筋肉の異常収縮を緩和し痙性斜頸の症状を改善する目的で頸髄神経前枝の選択的末梢神経遮断を加えることによって良好な結果が得られたので報告する.
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