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総説
脳形成異常の形態学—分類から統合にむけて
著者: 堀映1
所属機関: 1ハノーバー医科大学神経病理学研究所
ページ範囲:P.969 - P.985
文献購入ページに移動I.はじめに
この小論は次の2点に重点をおく.①次々と新しく見い出される症候群を含めて,種々の形成異常を細かく分類してゆく従来のやりかたでなく,それぞれの症候群を形態学的に大きなスペクトラに統合して考えることによって,形態成因をより易しく理解しようと試みる.②文献にあまり記載がなく,したがってあまり知られていないが,決して稀有とは思われない形成異常をも紹介し,画像診断の可能性を指摘して症例の蓄積を促す.しかし限られた紙数ですべてを網罹することは不可能で,内容が多少とも片寄ることは避けられない.
形成異常の理解には発生学と系統および局所解剖学の知識が助けとなるが,ここではそれに立ちいる余裕はない.発生の原則として,神経系の場合もおおむねまず器官発生そして組織発生が展開されるので,本論でもそれに従って話をすすめる.脳の外因性胎生期異常の理解には,働く外因の種類とは無関係に,その働く時期と程度によってのみ形態学が決定されるという古典的原則を忘れてはならない.発生途上の脳の一部に破壊が生じても,プログラムされた脳発育は進行するため,そこにadaptationがおこり,結果として複雑な形成異常となる.
この小論は次の2点に重点をおく.①次々と新しく見い出される症候群を含めて,種々の形成異常を細かく分類してゆく従来のやりかたでなく,それぞれの症候群を形態学的に大きなスペクトラに統合して考えることによって,形態成因をより易しく理解しようと試みる.②文献にあまり記載がなく,したがってあまり知られていないが,決して稀有とは思われない形成異常をも紹介し,画像診断の可能性を指摘して症例の蓄積を促す.しかし限られた紙数ですべてを網罹することは不可能で,内容が多少とも片寄ることは避けられない.
形成異常の理解には発生学と系統および局所解剖学の知識が助けとなるが,ここではそれに立ちいる余裕はない.発生の原則として,神経系の場合もおおむねまず器官発生そして組織発生が展開されるので,本論でもそれに従って話をすすめる.脳の外因性胎生期異常の理解には,働く外因の種類とは無関係に,その働く時期と程度によってのみ形態学が決定されるという古典的原則を忘れてはならない.発生途上の脳の一部に破壊が生じても,プログラムされた脳発育は進行するため,そこにadaptationがおこり,結果として複雑な形成異常となる.
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