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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科27巻11号

1999年11月発行

文献概要

研究

中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する集学的治療—新しい多剤併用“PEACE”化学療法の試み

著者: 欅篤12 鍋島祥男2 和賀志郎1

所属機関: 1大阪府済生会泉尾病院脳神経外科 2天理よろづ相談所病院脳神経外科

ページ範囲:P.999 - P.1005

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I.はじめに
 中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary centralnervous system malignant lymphoma,以下PCNSMLと略)は従来比較的稀な疾患と考えられてきたが近年その数は確実に増えつつある.全国脳腫瘍統計でも全脳腫瘍中に占める割合は1969-1983年の間では1.1%であったが20)1984-1990年間では2.4%と著増している21).治療法は,これまで放射線治療を中心に行われてきたが,短期間で再発することが多く長期生存が望めないことより放射線治療に加えて種々の化学療法が試みられてきた5,13).中枢神経系以外の非Hodgkinリンパ腫に対する第2,第3世代の化学療法は毒性も強く治療関連死も少なくない上に費用もかかることから米国では依然初代のCHOP療法が“bestavailable treatment”の地位を保っている8).一方,PCNSMLに対する化学療法の効果は有効とする報告5,13,15,19)もある一方で,否定的な報告1,11,22)もみられる.近年では血液脳関門を通過するMTXの大量投与2,5,9,16)が再発例にも有効とする報告がみられるが,大量化学療法に伴う合併症,特に治療関連死4)は最も避けなければならない問題であり化学療法専門のスタッフ(医師および看護婦)のいない脳神経外科病棟で安易に行うことは慎まなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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