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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科27巻12号

1999年12月発行

文献概要

総説

ステントを併用した血管形成術

著者: 滝和郎1 川口健司1 村尾健一1

所属機関: 1三重大学脳神経外科

ページ範囲:P.1079 - P.1090

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I.はじめに
 近年,脳神経外科領域における血管内手術が急速に進歩している.その中でも最近になって発達してきたのが,頭頸部領域,特に頸動脈狭窄症に対するステント留置による血管拡張術である.これまでは頭頸部動脈狭窄症に対してバルーンによる経皮的血管拡張percutaneous transluminal an-gioplasty(PTA)が行われていたが,石灰化を伴う硬化性病変に対しては十分な拡張が得られないことが多く,また解離や再狭窄を来たす頻度も高かったため,外科的にバイパス術や頸動脈内膜剥離術carotid endarterectomy(CEA)が行われることが多かった.特に頸動脈狭窄症ではNASCET(North American Symptomatic Carotid Endarte-rectomy Trial),ECST(European Carotid Sur-gery Trial),ACAS(Asymptomatic CarotidAtherosclerosis Study)などのrandomized studyでCEAの有効性が確立されているため9,10,31),バルーンPTAは主に手術リスクの高い症例に行われてきた.一方,心臓の冠動脈狭窄症や四肢の末梢血管狭窄症においてバルーンPTAは第1選択の治療法として既に確立しているが,頭頸部と同様の理由で外科的バイパス術を必要とすることが多かった.このためバルーンPTAに代わる方法としてステント留置による血管拡張術が冠動脈,四肢血管領域で開発され,良好な成績が得られることがわかった.このような状況を背景として頭頸部動脈狭窄症に対してもステント留置が行われるようになり,良好な初期成績が報告され30),CEAより優れた治療成績を報告する施設もある18,24,35,\45,47).このようなことからステントの出現はこれまでの治療方針に大きな変化をもたらすものと考えられる.本稿では頸動脈狭窄症を中心とした頭頸部動脈狭窄症に対するステント留置手技の実際と自験例の治療成績について述べ,適応,合併症,再狭窄,特に頸動脈狭窄症ではCEAとの比較について考察する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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