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研究
機能的MRIによるヒト脳嗅覚中枢の検出
著者: 椎野顯彦1 森田恭生1 井藤隆太2 鈴木幹男3 松田昌之1 半田讓二1
所属機関: 1滋賀大学脳神経外科 2滋賀大学放射線科 3滋賀大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.1105 - P.1110
文献購入ページに移動脳機能イメージングのなかでもfunctiomal MRI(fMRI)は,positron emission tomography(PET)に比べて経済的で放射線の影響も考慮せずにすむことから,手軽にくり返し行える検査として普及してきた.近年,超高速MRIの技術の進歩とともにエコープレナー法(EPI)が簡単に使えるようになり,時間分解能や検査時間が改善された.BOLD(Blood Oxygenation Level Depen-dent)法は,酸化ヘモグロビンの増加に伴う信号強度の変化を利用して脳の機能を調べる方法であるが,これはいわば局所磁場の不均一性に依存している.頭蓋底に近い領域は,副鼻腔と脳実質との間に極端な磁化率の違いのあることから,BOLDを検出しようとすると無信号領域や歪みの問題がでてくる.このため脳の頭蓋底部付近のBOLDの検出は困難であり,通常のfMRの手法では賦活領域を描出できない.今回われわれは,このsusceptibilityの問題を克服すべく嗅覚刺激に対する中枢の反応をfMRを用いて検討したので報告する.
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