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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科27巻12号

1999年12月発行

文献概要

研究

脳神経外科手術のデジタル記録

著者: 宝金清博1 黒田敏1 阿部弘1 瀧川修吾2 斎藤久寿2

所属機関: 1北海道大学脳神経外科 2札幌麻生脳神経外科病院

ページ範囲:P.1111 - P.1118

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I.はじめに
 医療記録は,単なる備忘録ではなく,医学教育,医学研究の重要な基礎データである上医療記録の中でも,手術記録は,最も視覚的かつ特殊なものである.その歴史は,術者自身の手による手書きの手術記録に始まり,術中写真に発展し,現在では,日本の多くの脳神経外科施設において,手術ビデオが記録として残されている.これに加えて,最近では,手術ビデオからの手術写真(静止画像)の出力が盛んに行われ,これが,手術記録上に添付される機会も増えてきている.
 こうした中で,multimediaの発達により,画像記録のデジタル化が急速に進んでいる.脳神経外科領域でも,すでに,MRI, CT scanなどの診断用画像はすでに完全にデジタル化されており,デジタル化は,手術記録にまで拡大しつつある1,4)しかし,こうした手術記録におけるデジタル化の意味と問題点が外科医の側から整理されたことはなく,現時点での評価は今後の展望の意味からも重要である.ただ,一般的な撮影条件下での検討は,あまり意味がないように思われる.特に,脳神経外科領域では,マクロの手術から手術顕微鏡を用いたマイクロの手術まで,光学的にも複雑かつ特殊な作業行程が多く,しかも,顕微鏡下での撮影は,後述するように極めて特殊な条件が重なり,理論的な方法のみでは,検討しにくい領域である.また,光量の少ない生体の深部の強拡大という光学的条件を実験的に構成することは困難であり,臨床での検討が必要である.今回,ハイビジョン,デジタルカメラ,デジタルビデオを中心とした手術の様々なデジタル記録の手法を試み,検討したのでこれを報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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