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文献概要
解剖を中心とした脳神経手術手技
もやもや病に対する血行再建術
著者: 宝金清博1 中川翼2 上山博康3 黒田敏1 石川達哉3 高橋明弘4 阿部弘1
所属機関: 1北海道大学脳神経外科 2渓仁会定山渓病院 3旭川赤十字病院 4札幌時計台病院
ページ範囲:P.211 - P.222
文献購入ページに移動もやもや病に対する血行再建術には,多くの変法があり,それぞれに利点と欠点を有している1-6,8,9,11,14-20,23-27,30-32).基本的には,有効な新生血管を発生しやすい状況を人為的にもたらすのが,本手術の根本である10,25,27).したがって,どのような組織を用いて,どのような操作を加えるかにより,術式が異なる.北海道大学脳神経外科においては,過去20年間に比較的一定の術式が行われてきた4,28,29).しかし,それですら,細部を見ると,この間,主な術者も変わり,少しずつ変化してきている.大まかに分けると,間接的血行再建を主としていた時期,直接的血行再建を主としていた時期を経て,現在の複合法へ続いている.
経年的な変遷は,経験に基づいたものであり,大きな意味がある.しかし,本論文で紹介するのは,現在,北海道大学脳神経外科において,主に小児例に対して行っている,浅側頭動脈と中大脳動脈を直接的に吻合する直接的血行再建術と,硬膜,血管,筋肉,骨膜を脳に付着させることによる間接的血行再建術を併用した,いわゆる複合血行再建術である4,8,9).様々に行われているもやもや病に対する外科的治療の試みの中で,本術式は最も複雑かつ徹底したものである.したがって,この術式が極端にinvasiveであるという批判や,あるいは,特殊な技術的経験が必要であるという意見もあり,その評価に関しては,意見の分かれるところである27).そうした問題に関する議論や特に間接的血行再建の理論的な側面は,本誌においても,松島らが,実に詳細に検討しており,参考にされたい25,27).本論文では,この複合血行再建術の外科解剖的な根拠と技術的な側面に限定して,本術式の詳細に関して述べたい.
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