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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科27巻4号

1999年04月発行

文献概要

総説

難治性てんかんの外科治療—実験てんかんからのアプローチ

著者: 田中達也1 橋詰清隆1 中井啓文1 国本雅之1 高野勝信1 程塚明1

所属機関: 1旭川医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.303 - P.316

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I.はじめに
 てんかんは,ギリシャ・ローマ時代から記載のある古い疾病であるが,近代的な抗てんかん薬の治療により,多くの症例で発作のコントロールが得られるようになってきた.しかし,てんかん患者の10-15%を占めている難治性のてんかんは,未だに治療法が確立できない難病で,長期にわたって繰り返す発作により,知能障害や性格変化を来たし,悲惨なquality of lifeに陥ってしまうことが多い.このため,難治性てんかんの外科治療が注目されるようになってきた.Engel Jr.の国際統計によると6),難治性てんかん症例の手術による発作消失率は,側頭葉内側型てんかんでは約7割,側頭葉外のてんかん手術では約5割と,比較的良い成績が報告されている.しかし,われわれが経験した手術症例の中にも,術後に発作改善が得られても依然として発作が続いている難治例も決して少なくない40,42,47-49)
 少量の興奮性アミノ酸を実験動物の脳内に局所注入すると,てんかん発作が誘発されることが報告されている1,3,7,11,12,15,16,18,21,24,25,29,31,33,35,39,41,43,44,53,55,58,59).さらに,中華料理を食べた後に,Chinese restaurant syndromeが起こること26)や貝毒を持つムール貝を食べた後にけいれん発作が起こること7)などが報告されてから,臨床においても興奮性アミノ酸が注目されるようになった.われわれは,微量のカイニン酸を実験動物の扁桃核内に局注することにより,難治性複雑部分発作のモデルが34,38),大脳皮質の感覚運動領野内に微量注入すると皮質焦点発作のモデルが56)できることを報告してきた.これらのモデルを用いて,難治性てんかんの機序の解明及びてんかん手術の有効性について基礎的なアプローチを行ってきたので,これまでに得られた結果を中心に報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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