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研究
Functional MRIを用いた脳腫瘍術前の脳機能マッピング—経頭蓋磁気刺激および術中マッピングとの対比
著者: 上之郷眞木雄1 森川実2 石丸英樹2 越智誠2 鬼塚正成1 白川靖1 高橋治城1 柴田尚武1
所属機関: 1長崎大学脳神経外科 2長崎大学放射線科
ページ範囲:P.437 - P.444
文献購入ページに移動中心溝近傍に存在する腫瘍性病変に関して,術前にその解剖学的局在を明確にしておくことは,安全かつ的確な手術において有用であり,func-tional magnetic resonance imaging(fMRI)を用いた非侵襲的画像検査が術前の機能マッピングとして試みられている1,7).一方,transcranial magne-tic stimulation(TCS)はベットサイドにおいて簡便かつ無侵襲に四肢の筋運動誘発が可能であり,術前の運動中枢マッピングへの応用も検討されている9).前者は神経活動負荷にともなう過剰なオキシヘモグロビンの増加,即ち血流の増加を捉えることで,機能局在を間接的に把握する方法である11).後者では磁気刺激によって脳内に生じた誘導電流が神経細胞を刺激し,その支配の筋運動が誘発されることで,直接的に機能局在の決定が可能である3).しかし刺激用コイルと頭皮面接線との角度の影響など刺激手技によってマーキングに誤差を生じる危険性を有している.今回はfMRIおよびTCSによって得られた術前運動野同定所見を比較検討し,一部症例では術中所見とも対比しfMRIおよびTCSを用いた術前の運動野マッピングについて,その意義および問題点を報告した.
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