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研究
70歳以上の高齢者の未破裂動脈瘤の手術適応と問題点
著者: 丹羽潤1 谷川原徹哉1 久保田司1 千葉昌彦1 秋山幸功1 稲村茂1
所属機関: 1市立函館病院脳神経外科
ページ範囲:P.517 - P.523
文献購入ページに移動1997年5月に日本脳ドック学会から出された脳ドックのガイドラインでは70歳以上の高齢者の未破裂脳動脈瘤を手術することは積極的に勧められていない2).1996年までわれわれの施設でも70歳以上の未破裂脳動脈瘤の手術適応は本人の意思に任せてきた.しかし高齢であるとの理由で手術せずに外来で経過観察していた未破裂脳動脈瘤の76歳女性が,脳動脈瘤が発見された8カ月後の1996年5月に重度のくも膜下出血で搬入されるという非常に苦い経験をした.それ以来当科では70歳以上の未破裂脳動脈瘤でも重篤な基礎疾患あるいは高度の脳血管障害の既往を有しない場合には根治術を考慮すべきであるという方針を取ってきた.
今回市立函館病院脳神経外科で経験した70歳以上の未破裂脳動脈瘤18例の予後から,高齢者の未破裂脳動脈瘤の手術適応と問題点について検討したので報告する.
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