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研究
von Hippel-Lindau病に伴う脊髄血管芽腫の検討
著者: 中嶋裕之1 徳永浩司1 田宮隆1 松本健五1 大本尭史1 古田知久2
所属機関: 1岡山大学脳神経外科 2岡山大学中央手術部
ページ範囲:P.533 - P.540
文献購入ページに移動脊髄血管芽腫は脊髄腫瘍の約5%とされ,比較的まれな腫瘍であるが,MRI上Gd-DTPAにより強く増強され,tumor cystを伴うことが多く,signal void,血管写上の濃染像などより診断は比較的容易であり,治療は腫瘍の全摘出により通常良好な結果が得られる6).
しかし,常染色体優性遺伝疾患であるvon Hip-pel-Lindau病(VHL病)の脊髄病変として表れる場合,多発性の有無,網膜血管芽腫,腎細胞癌,副腎褐色細胞腫,腎および膵臓の嚢腫などの他臓器の病変の有無についても注意を払うことが必要であり,治療に際しても,脊髄病変の摘出のみでは終わらず,内科,眼科,泌尿器科などと連携して定期的に検査を行うことが必要となる.また,患者から遺伝学的な相談を受けることもあり,VHL病に合併する脊髄血管芽腫については特別な配慮が必要である.
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