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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科27巻6号

1999年06月発行

文献概要

読者からの手紙

読者からの手紙

著者: 青木信彦1

所属機関: 1東京都立久保病院脳神経外科

ページ範囲:P.590 - P.590

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 最近,貴誌に掲載された遠藤らの論文1)を興味深く読ませていただきました.著者らの主旨とはかけはなれた内容ではありますが,他の邦文論文でも同じ様な疑問がありましたので,コメントさせていただきます.著者らの考察の中で,椎骨脳底動脈解離の脳血管写所見としてintraluminlalpooling signというtermが用いられており,その出典としてAnderson et al1)と関野ら6)の論文があげられています.しかし,これらの論文にはintraluminal pooling signという言葉はみられません.確かに脳血管撮影の合併症としてのsubin-timal injectionやintramural injectionと同じ所見が解離にもみられるという表現はありますが,in-traluminal pooling signというtermはどこからきたのでしょうか.英文の論文にはありませんがimramural pooling signというtermは頸部内頸動脈解離に対して用いられています4).しかしその論文でもその出典の記載はみられません.残念ながら検索しても見つけられませんでしたが,小生の知る限りでも,本邦の論文の中にはdissectionの血管撮影所見としてintraluminal pooling signとかintramural pooling signという表現がみられています.そのオリジナルはおそらく1983年の青木の論文2)ではないかと思われます.これは本邦ではじめての非外傷性頸部内頸動脈解離の論文で,これまで使用されてきた解離性動脈瘤に対して,英語のdissectionは必ずしも動脈瘤ではないという意味で初めて解離という日本語が使用されていることと,dissection の true diagnostic signとしてintramural pooling signは解離そのものを表していると記載しています.もともと,true“diagnostic sign”というterm は Kunzeらが初めて用いたもので5),関野らは血管撮影時のintra-mural injectionに類似した所見もtrue“diagnosticsign”と言えると記載していま6).つまり,このような文献的な経緯からdissectionの脳血管撮影所見としてintramural pooling signというtermが出現したのですが,intraluminal pooling signというtermの出典は明らかではありません.lu-menが管腔という意味でしたら,dissectionの場合,停滞した造影剤は血管腔内ではなく血管壁内ですので,intraluminal pooling signという言葉は適切ではないともいえます.事実,血管腔内に造影剤の停滞する現象も知られていましてflowseparation phenomenon7)と呼ばれていますが,これはdissectionではありません.以上,頭頸部のarterial dissectionの血管{最影所見としてのin-tramural pooling signの出典を明らかにするとともに,intralumhial pooling signというtermがどこからきたのかについての疑問を述べさせていただきました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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