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インパクトファクター
著者: 石井鐐二1
所属機関: 1川崎医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.602 - P.603
文献購入ページに移動1997年度版での順位ベスト・ファイブは,Annu Rev Biochem 40.782, Nat Genet38.854, Annu Rev Immunol 37.796, Cell 37.297, Nat Med 28.114となっている.雑誌の評価が時代によって変化してきているが,90年代に入ってからの特色としてNature(27.368)とその姉妹誌である第2位のNat Genet,第5位のNat Medの進出があり,総合科学雑誌としてのNatureへの関心の高さが分かる.また,原著論文に比較してレビュー誌が上位にあるのも特徴である.脳神経外科領域ではどうか.思いつくままに,1997年度版から挙げてみると,J Neurosurg 2.999, Neurosurgery1.113, Surg Neurol 0.328, Acta Neurochir 0.623, Neurochirurgie 0.388といったことになる.昨年秋の札幌での脳神経外科学会総会で,機関誌編集長の山浦晶教授が,Neurologia medico-chirurgicaも対象雑誌としての審査を受けており,インパクトファクターへの道が開かれようとしていると報告されていた.間もなくJCRに記載されるようになるものと思われるが,あまり高い値は期待できないのかも知れない.というのも,1997年度版JCRにおいて日本の雑誌133誌のうち1以上のものは18誌にすぎない.しかも,最高がJ Phys Soc Jpn2.025で第698位である.ちなみに,日本眼科学会の英文誌Jpn J Ophthalmolは0.348で第3683位である.一方,インパクトファクターの値が高いほどその分野に与える影響が大きく,良質な論文を多数掲載している雑誌であると一般的に考えられているが,いくつか問題点も指摘されている.これらを列記すると,1)2年間のデータのみから算川することの妥当性,2)レビュー誌が高値となる傾向,3)収載誌の多いアメリカに有利なこと,4)簡単に人手できる文献を引用する傾向,5)引用されていることは流行を反映し,必ずしも重要さを反映しないこと,6)方法論に関わる論文は引用されやすいこと,7)自己引用の問題等々である.
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