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『多すぎる学会』
著者: 渡辺高志1
所属機関: 1鳥取大学脳神経外科
ページ範囲:P.784 - P.785
文献購入ページに移動ところで,これらの会の運営は,教室あるいは施設内の会を除き,ほとんどすべての会が企業の寄付で成り立っている.小さな研究会では,会費はなくすべてを企業が負担している場合も多い.大きな学会でも,会費の割合は低く,企業からの寄付に頼っている.ホテルを使うため高い会場費,外国から等のたくさんの招待者,豪勢な懇親会等を賄うために,その会の事務局は企業に寄付をお願いする.企業側からすれば,純粋な寄付である場合もあろうが,投資の面も強い.これらは,回り回って医療費を確実に引き上げている.こういう構図こそが,社会における諸悪の根源である.医師のための医師による会である.参加者の会費で会を運営しなければならないことは当然である.公的な場所を会場に選べば良いし,招待者も多くしないようにし,懇親会もできるだけ質素にするべきである.会の運営もその種の企業にまかせずに,自らで行えば,かなり節約できるだろう.おそらく,そうしても運営費は不足するはずであるので,その分は参会費を値上げして,補うしかないであろう,それでも会の運営費が足りなければ,その会がおもしろくないかあるいは必要がないのである.赤字が続くような会は存在価値がないことを示しているのである.寄付をまったく否定しているのではなく,寄付する側と寄付を利用する側との間に第3者を入れ,関係を完全に断つことが必要である.寄付の配分を第3者が決めることで,寄付する側との関係をなくすることができる.
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