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研究
MRI分類に基づくてんかん手術の効果
著者: 藤井正美1 秋村龍夫1 久保田尚1 安田浩章1 伊藤治英1 林隆2 西河美希2 緒方博子3
所属機関: 1山口大学脳神経外科 2山口大学小児科 3社会保険下関厚生病院神経小児科 4岩国市医療センター医師会病院脳神経外科
ページ範囲:P.23 - P.29
文献購入ページに移動わが国のてんかん患者総数は約100万人と推定され,そのうち約20万人は薬剤の効なく苦しんでいる難治性てんかんの症例と報告されている28).これらのうち,海馬硬化を主体とする内側型側頭葉てんかん(MTLE)に対しては,内側側頭葉切除術により68%で発作消失,改善24%,不変8%と良好な結果が得られている6).しかしMTLE以外のてんかん症例に対しては種々の手術法が用いられてはいるが,てんかん焦点の組織学的多彩性のため手術効果は様々である6).
一方,近年頭蓋内脳波記録およびMRIなどの画像診断の進歩に伴い,焦点部位が正確に同定できるようになり,MTLE以外のてんかん症例においても病巣切除術や焦点皮質切除術などによる外科治療成績が向上している.さらに術前診断に加え,Morrel1ら20)が開発した軟膜下皮質多切術(MST)の実験的および臨床的有効性が報告されるようになり8,10,11,21,23,26),広範囲に焦点を有する症例や運動野,言語野などの切除困難な部位に焦点を持つ症例に対しても,手術が行われ,手術適応の範囲は以前より拡大している.
このような背景を踏まえ,今回われわれはMTLE以外のてんかん症例を術前のMRI所見より3つの群に分類し,それらの症例に外科治療を施行しその効果につき検討したので報告する.
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