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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻1号

2000年01月発行

文献概要

読者からの手紙

クーハン(ベビーキャリー)からの乳児転落事故

著者: 坂井恭治1 筒井巧1

所属機関: 1高知県立安芸病院脳神経外科

ページ範囲:P.95 - P.95

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 クーハンからの転落事故が国民生活センターから最近,集計報告された1).クーハン(couffin)とはフランス語に由来し,「ベビーキャリー」とか「キャリーバッグ」などとも呼ばれる生後4カ月未満の乳児を入れる持ち手のついた大きな篭で,乳児を連れて外出する際に使われることが多い.同センターによると7年間に44件の事故が寄せられ,うち頭蓋骨骨折が7件であった.当院でもこの1年半の間に,クーハンからの転落事故による乳児の頭蓋骨骨折を2例経験した.このことより,同センターからの報告は氷山の一角と思われる.
 当院の症例は生後31日と65日の乳児で,クーハンからの転落で頭蓋骨骨折を起こし,1例は外傷性くも膜下出血も伴っていたため入院を必要とした(図1).事故の状況は,2例とも父親が乳児を運んでいる途中,持ち手を替えようとしてバランスを崩し,クーハンが傾いて乳児が転落したというものであった.残念なことに,2例目の母親は事故の1週間前に育児教室で,小児科医師からクーハンからの転落事故について話を聞いたばかりで注意していたが,このことが父親には伝わっていなかった.クーハンに乳児を乗せた場合,相当の重量になるため実際には父親が持つことが多い.父親にも同用具の危険性を周知させることが必要と痛感した.また,クーハンを製造する側にも転落を防止する構造上の改善,販売する際の使用上の注意の徹底が強く望まれる.最近,当院では育児教室に加え,小児科外来に同センターからのパンフレットを掲示し,保護者への注意を行っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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