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総説
解離性脳動脈瘤
著者: 渡辺高志1
所属機関: 1鳥取大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.849 - P.852
文献購入ページに移動I.はじめに
解離性脳動脈瘤または脳動脈解離は,最近脳神経外科領域においてしばしば見かける疾患である.疾患そのものが増えているのかも知れないが,むしろそのような疾患の存在がいきわたったことや診断技術の進歩によるものと思われる.脳動脈の解離はどの血管にも起こるが,本邦で最もよく遭遇するのは後頭蓋窩,特に椎骨動脈の解離である.脳梗塞にて発症する解離の多くは神経内科医が扱うことになろうが,くも膜下出血で発症する解離は脳神経外科医が診ることになる.しかし,脳梗塞もくも膜下出血も起こさない突然の後頸部痛が,椎骨動脈の解離を起こしていることもあるので,日常の診療にも気を使っている.たとえ腰椎穿刺を行い髄液が血性でなくても,MRAまたはCT angioを行うようにしている.以前より,くも膜下出血で発症した椎骨動脈系の解離性動脈瘤の患者は,入院前,入院時およびその後間もない時期に頻回に再破裂を起こしているという印象があり,鳥取大学とその関連病院の症例を検討したので,その結果について述べる1).また,最近比較的まれな前大脳動脈A1部の解離を経験し,文献を調べたところ興味ある知見を得たのでそれについても述べる2).
解離性脳動脈瘤または脳動脈解離は,最近脳神経外科領域においてしばしば見かける疾患である.疾患そのものが増えているのかも知れないが,むしろそのような疾患の存在がいきわたったことや診断技術の進歩によるものと思われる.脳動脈の解離はどの血管にも起こるが,本邦で最もよく遭遇するのは後頭蓋窩,特に椎骨動脈の解離である.脳梗塞にて発症する解離の多くは神経内科医が扱うことになろうが,くも膜下出血で発症する解離は脳神経外科医が診ることになる.しかし,脳梗塞もくも膜下出血も起こさない突然の後頸部痛が,椎骨動脈の解離を起こしていることもあるので,日常の診療にも気を使っている.たとえ腰椎穿刺を行い髄液が血性でなくても,MRAまたはCT angioを行うようにしている.以前より,くも膜下出血で発症した椎骨動脈系の解離性動脈瘤の患者は,入院前,入院時およびその後間もない時期に頻回に再破裂を起こしているという印象があり,鳥取大学とその関連病院の症例を検討したので,その結果について述べる1).また,最近比較的まれな前大脳動脈A1部の解離を経験し,文献を調べたところ興味ある知見を得たのでそれについても述べる2).
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