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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻10号

2000年10月発行

文献概要

読者からの手紙

読者からの手紙—経管栄養を開始する際の工夫

著者: 金景成12 水成隆之1 小林士郎1 寺本明2

所属機関: 1日本医科大学付属千葉北総病院脳神経外科 2日本医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.925 - P.925

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 意識障害を有する患者等に対ししばしば経管栄養が施行されるが,一般に白色の経管栄養剤は,誤嚥した際も発見が遅れる傾向があり,経管栄養中でさえ誤嚥による肺炎を併発することが体験される1).そのため経管栄養を開始する際は,X線透視下の造影剤検査や内視鏡検査等により誤嚥の有無を検討することが望ましいとされるが1),実際臨床においては理学所見等を目安に経管栄養が開始されるのが現状ではなかろうか.
 当施設においては,経管栄養を開始する以前より,お湯,もしくは5%ブドウ糖100mlを胃管より投与しているが,経管栄養開始が予想される場合そこに0.1%ゲンチアナバイオレット(ピオクタニン)を1ml混和している.そうすることによって気管分泌物の色調より早期に誤嚥を発見することが可能となり,経管栄養投与の可否を検討する上で有用な情報を得ることができる.われわれの経験では,100mlにて問題を生じない場合でも誤嚥を生じる場合が稀ではあるが存在するため,250mlで同様の試みを行い,経管栄養を開始することとしている.ゲンチアナバイオレットは本来色素であるが,人体には非刺激性であり,最近ではMRSAに対し抗菌作用を有しているとも報告されている2).この方法は非常に簡便かつ有効であり,誤嚥が発見された場合も,体位等を工夫することによって,比較的安全に経管栄養を開始/再開することができ,実際臨床においても軽微な努力で不幸な誤嚥を防げる可能性があると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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