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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻11号

2000年11月発行

文献概要

研究

再発膠芽腫に対するHSV-TK/GCV遺伝子療法—臨床治験5例における生物学的安全性の検討

著者: 安達直人123 L. Könü23 米川泰弘23

所属機関: 1山口大学医学部脳神経外科 2チューリッヒ大学脳神経外科 3GLI−328 Study Group

ページ範囲:P.965 - P.974

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I.はじめに
 悪性脳腫瘍(膠芽腫)に対する遺伝子治療として,herpes simplex virus-thymidine kinase(HSV-TK)遺伝子とganciclovir(GCV)を利用した自殺遺伝子療法がすでに臨床応用されている1-4,19,20).この治療法の原理はレトロウイルスをベクターとしてGCV感受性を示すHSV-TK遺伝子を腫瘍細胞に導入して,選択的な殺細胞効果を導く方法である11-13,16,23,25)
 チューリッヒ大学脳神経外科では,1996年から膠芽腫に対するHSV-TK/GCV遺伝子治療を開始した.この治療はNovartis Pharma,Ltd.(Basel,Switzerland)との共同治験(GLI−328)として初発例と合わせて再発例に対しても施行している22).今回の臨床治験は再発膠芽腫に対する治療効果を含めた生物学的安全性の検討を目的とした.治療開始から12カ月間経過を観察し得た再発例が5例存在し,再発からの1年生存率は60%でありHSV-TK/GCV治療法の効果が強く示唆された3,4).遺伝子治療の臨床応用においては抗腫瘍効果だけでなくその安全性の問題も解決しなければならない.特に本治療法のin vivo遺伝子導入にはマウス由来のベクター産生細胞とレトロウイルスベクターを使用しており,使用安全性を厳密に確認する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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