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症例
脳梗塞で発症した血管内悪性リンパ腫症の1例
著者: 佐藤岳史14 鍋島祥男1 山添直博1 井坂文章1 本山靖1 樋口一志1 川村由起2 林野泰明3
所属機関: 1天理よろづ相談所病院脳神経外科 2天理よろづ相談所病院神経内科 3天理よろづ相談所病院血液内科 4京都大学脳神経外科
ページ範囲:P.1023 - P.1028
文献購入ページに移動血管内悪性リンパ腫症(intravascular malignant lymphomatosis;IML)は中枢神経,皮膚をはじめとして全身の諸臓器の血管内で腫瘍細胞が増殖する稀な疾患である8,22).その報告は1959年のPflegerらの報告15)に遡り,腫瘍細胞の由来が血管内皮細胞であると考えられていたため,neopla-stic angioendotheliosis,angioendotheliomatosis,malignant angioendotheliomatosis,cerebral an-gioendotheliomatosisなどと呼ばれていた10).現在ではその腫瘍細胞は主にBリンパ球系細胞に由来し4,11,12,18),非ホジキンリンパ腫の1亜型であると考えられている.また,本疾患に特異的症状・所見は乏しく,症状の進行も急速で予後も不良であることから,生前の確定診断は困難である.
今回筆者らは,進行性の痴呆で発症し,画像上多発性脳梗塞の所見を呈し,開頭生検術により診断確定し得たIMLの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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