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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻12号

2000年12月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

テント髄膜腫の手術

著者: 坂田勝巳1 山本勇夫1

所属機関: 1横浜市立大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1047 - P.1056

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I.はじめに
 テント髄膜腫(tentorial meningioma)はAndrel(1833)が小脳テント上下に存在する後頭蓋窩髄膜腫を偶然に発見して記録したのが最初の報告で,その頻度は頭蓋内髄膜腫の約2-3%とされている4,7,17).一般に髄膜腫はくも膜顆粒(arachnoid villi)から発生するが,後頭蓋窩,テント周辺では上錐体静脈洞(superior petrosal sinus),直静脈洞(straight sinus),横静脈洞(transverse sinus),斜台錐体骨接合部,脳神経孔の周囲にその存在が明らかにされ,髄膜腫の発生部位となると考えられている5,25).しかし,後頭蓋窩髄膜腫で上錐体静脈洞をはさんで存在している場合,その付着部が後頭蓋窩硬膜錐体骨面に存在するのか,テント下面なのかを区別することは難しい.また,テント切痕(tentorial incisura)前方に腫瘍が存在する場合,斜台錐体骨接合部より発生する斜台錐体部髄膜腫(petroclival meningioma)との鑑別が困難なことが多く,その発生部位の違いにより,手術の難易度にも多少の差が生じる.
 小脳テントはtentorial apexを頂点とし,前側方,側方,後方へ緩やかなスロープを保ちながら,蝶形骨,側頭骨,後頭骨に付着し,大脳と小脳を境界する硬膜構造物である.その上方,後方,側方は静脈洞に囲まれ,側頭葉や小脳からの架橋静脈が流人し,tentorial sinusを形成している.また,テント切痕近傍には多くの脳神経,動脈,深部静脈が走行しており,テント髄膜腫の手術を計両する際には,これらの解剖学的特殊性を十分に理解し,最適の到達法を選択することが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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