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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻12号

2000年12月発行

文献概要

研究

脳循環のSTA-MCAバイパス血流依存性—吻合STA圧迫テストによる長期追跡結果

著者: 中村俊文1 岩田吉一2

所属機関: 1中村クリニック 2箕面市立病院脳神経外科

ページ範囲:P.1057 - P.1062

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I.はじめに
 虚血性脳血管障害に対する外科的治療法としての頭蓋外内血管吻合術(EC/ICバイパス手術)は,1967年にDonaghy4),Yasargil20)らによって開発された浅側頭動脈(STA)-中大脳動脈(MCA)皮質枝吻合術が最初である.このEC/ICバイパス手術の目的は,外科的に増設した側副血行路を介して虚血脳へ血流を供給することであり,r-CBFの改善,PET所見の改善,精神症状の改善,脳波所見の改善などの効果が数多く報告されてきた.しかしその有効性に関しては,1985年に行われた卒中発生率を指標とした国際的な共同研究の結果,内科的治療に勝ることはなかったとの報告3)以来,疑問視されている.だが,その評価に対する反論や批判が現在に至っても少くないのは2,5,17),とりもなおさず厳密な手術適応や効果判定方法が確立されていなかったことに起因していると考えられる.最近の研究結果21)の否定的な結論も同様である.
 この種の手術の効果の判定方法としては,虚血脳の機能的可逆性,すなわち動的な脳循環予備能を把握することが重要であると考えられ,r-CBF,PETをはじめとして種々の検査が行われてきているが14),これといった決め手は無いのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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