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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻12号

2000年12月発行

文献概要

研究

吸引圧調節可能な超音波破砕吸引装置—吸引圧調節器の作製と使用経験

著者: 長澤史朗12 島野裕史1 黒岩敏彦1

所属機関: 1大阪医科大学脳神経外科 2蘇生会総合病院脳神経外科

ページ範囲:P.1083 - P.1085

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I.はじめに
 超音波破砕吸引装置(以下,超音波装置)は脳神経外科手術,とりわけ髄膜腫をはじめとする脳腫瘍の摘出術に有用な装置として普及した.さらに最近は装置の小型化や軽量化が進み,顕微鏡手術には不可欠の機器の一つとなった.しかしながら,脳神経や穿通枝など重要な神経血管構築を超音波で破砕したり,吸引して損傷するなどの危険が指摘されている1,2).これらは不適切な手術操作が原因の場合が多いが,装置の構造に起因する場合も考えられる.なかでも吸引圧は,腫瘍の硬さや出血の程度,近傍に正常構造物が存在する可能性,そのときの超音波強度や洗浄液量,などに応じて動的に調節できることが望まれる.しかし装置本体に付属した調節器では,比較的高めの一定圧力に設定する場合が多く,術者が吸引圧を細かく制御することは困難である.
 今回,超音波装置のハンドピースに容易に装着できる吸引圧調節器を作製し,脳腫瘍摘出術で使用した.吸引圧を調節することで吸引損傷の危険が減少し,また超音波発振休止時にも通常の外科用吸引管と類似した操作ができたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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