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研究
MEN1型下垂体腺腫の治療経験—7症例の報告
著者: 田中雄一郎1 本郷一博1 多田剛1 滝沢壮臣1 柿沢幸成1 小山淳一1 小林茂昭1 櫻井晃洋2 橋爪潔志2
所属機関: 1信州大学医学部脳神経外科 2信州大学医学部老年科
ページ範囲:P.1087 - P.1092
文献購入ページに移動多発性内分泌腺腫瘍症multilple endocrine neo-plasia(MEN)は,複数の内分泌腺に腫瘍性病変を生じる疾患である.罹患する内分泌腺の組み合わせにより1型と2型に分類される.MEN1型はWermer症候群とも呼ばれ,下垂体前葉,副甲状腺および膵島細胞に過形成ないし腺腫を生じる常染色体優性遺伝疾患である10,11).下乗体腺腫を生じると脳神経外科での治療の対象になる.発生頻度は欧米では人口1万から10万に1人とされているが12),本邦では1995年までに143例の報告があるに過ぎず,きわめて稀な疾患と考えられてきた14).しかし近年本邦でも,発生頻度は少なくとも10万人あたり1.8人あると推定され,MEN1型はこれまで考えられてきた程稀ではないと報告されている4).本邦の脳神経外科領域では,これまでMEN1型の下垂体腺腫に関してまとまった症例の報告はない.そこで今回われわれは本疾患の理解を深め,治療に関与する脳神経外科の立場を知るために,下前体腺腫摘出術を行ったMEN1型自験例7症例を分析した.
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