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症例
椎骨動脈—後下小脳動脈解離性動脈瘤Trapping術後,Hyperperfusion Pressure Breakthroughによる小脳出血を来たしたと考えられる1症例
著者: 玉野吉範12 氏家弘1 堀智勝1
所属機関: 1東京女子医科大学附属病院脳神経センター脳神経外科 2東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.257 - P.262
文献購入ページに移動解離性動脈瘤の破裂によるsubarachnoid hemor-rhage(SAH)の頻度は,近年digital subtraction angiography(DSA)や3 dimension computed tomography(3D-CT),magnetic resonance im-ages(MRI)等の検査機器の進歩普及によって増加している.一般的に椎骨動脈系の解離性動脈瘤ではSAHにて発症する症例が多く,内頸動脈系では血管閉塞による脳梗塞で発症する場合が多いと言われている16,17).その治療方法は,最近では血管内治療による報告も散見されるが11),明らかな頸部を持たない解離性動脈瘤の場合,一般的にはproximal clippingもしくはtrappingが有効であると思われる.
今回われわれはSAHにて発症し,右椎骨動脈—後下小脳動脈分岐部(VA-PICA)よりdistalのVAに発生した解離性動脈瘤に対してtrapping術を施行し,その翌日病側PICA領域に出血を来たした症例を経験したので,その発生原因について若干の文献的考察を加えて報告する.
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