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研究
閉塞性脳血管障害のMRI拡散強調画像(DWI)—発症6時間以内の初回DWI所見について
著者: 稲垣徹1 齋藤孝次1 奥山徹1 平野亮1 入江伸介1 稲村茂1
所属機関: 1釧路脳神経外科病院
ページ範囲:P.329 - P.336
文献購入ページに移動脳梗塞の画像所見は時間経過とともに変化することが知られている.その初期変化をいち早く捕えて治療に結びつけることが重要であり,閉塞性脳血管障害のtherapeutic time windowは3-6時間以内と言われている.しかしながら,従来の検査法では発症より6-8時間以上が経過し組織学的な形態変化が起こった虚血巣がとらえられるのみで,すでに不可逆的となった領域が描出されるに過ぎなかった.近年,MRIによる拡散運動の画像化(MRI拡散強調画像:以下DWI)が進歩し臨床利用されるようになり3-6,10,18),虚血巣の描出に強く威力を発揮している.これは虚血後の初期変化である細胞性浮腫の段階にある病巣をとらえることが可能なためで,早き期画像診断の手法として,また治療方針決定の重要な指標として期待されている.われわれは脳主幹動脈閉塞症のDWI所見を4つのタイプに分類し急性期血行再建の適応について報告した8).今回はtherapeutic time window内の発症6時間以内に搬入された閉塞性脳血管障害症例を対象に,初回DWI所見を発症からの経過時間と残存血流量との関係について検討し,その所見より考えられる閉塞性脳血管障害の病態について考察した.
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