Neurological Surgery 脳神経外科28巻5号

2000年05月発行

症例

腫瘍内出血を伴った脊髄髄内転移性腫瘍の1例

著者： 李毅平¹ 高安正和¹ 高木輝秀¹ 吉本真之¹ 三井勇吉¹ 吉田純¹

所属機関： ¹名古屋大学脳神経外科

ページ範囲：P.453 - P.457

I．はじめに
　悪性腫瘍の脊髄髄内転移は，比較的稀とされ，悪性腫瘍剖検例の2.1％を占めると言われている^2）．そのうち髄内出血を伴う症例は非常に稀であり，今まで数例しか報告されていない^{6,8,10,12，13）}．出血例ではその時点で症状が急激に悪化することがあるため，血管障害との鑑別も問題となる．
　今回われわれは，亜急性に対麻痺の進行を来たした脊髄円錐上部の髄内転移性腫瘍の腫瘍内出血例を経験したので，若干の論文的考察を加え，報告する．