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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻6号

2000年06月発行

文献概要

研究

延髄に伸展した頸髄上衣腫の手術

著者: 寳子丸稔1 小山素麿12 橋本信夫13

所属機関: 1大津市民病院脳・神経外科 2 3

ページ範囲:P.517 - P.522

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Ⅰ.はじめに
 脊髄上衣腫は最も頻度の多い髄内腫瘍であるが,境界が明瞭で重大な後遺症を残すことなしに全摘出が可能であると考えられている2,4,5,8).さらに,多くの症例で脊髄上衣腫の全摘出後に一時的に症状が悪化するが,数カ月後には回復し,長期的に追跡すると術前より症状が改善することが報告されている12,13).また,組織型が良性であることがほとんどであり,全摘出を行った場合,放射線治療などの補助療法を施行しないでも再発の可能性は非常に少ないというのがコンセンサスとなっている.これらのことより,脊髄上衣腫に対しては,全摘出が治療の第1選択として推奨されている.特に,頸髄に存在する上衣腫は胸髄や腰髄膨大部に存在するものに比較し手術後の予後が良いことが報告されている8).しかしながら,頸髄上衣腫の中でも,上位頸髄に存在し延髄に伸展する上衣腫の全摘出には躊躇を覚える.というのは,延髄には呼吸中枢や循環中枢など,生命の維持に必要な中枢が存在し,手術侵襲によりこれらの中枢に影響が及ぶことを危惧するからである.今回,延髄に伸展した頸髄上衣腫の3例を報告し,それらの解剖学的特徴を明らかにするとともに,全摘出の方法を記述したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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