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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻6号

2000年06月発行

文献概要

研究

脳神経外科領域におけるステロイド使用と特発性大腿骨頭壊死

著者: 長島梧郎1 鈴木龍太1 浅井潤一郎1 藤本司1 渥美敬2

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院脳神経外科 2昭和大学藤が丘病院整形外科

ページ範囲:P.523 - P.528

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Ⅰ.はじめに
 特発性大腿骨頭壊死はステロイド使用が原因となることは良く知られている.脳神経外科領域では1960年代にdexamethasoneが脳浮腫の治療に有効であることが報告されて以来8,17),比較的大量のステロイドが使用されてきた.最近になって頭部外傷,脳虚血に対するステロイドの有効性が疑問視され3,4,13,14),以前と比較しその使用頻度は減少してきたと考えられる.
 ステロイドの副作用は重篤で,耐糖能異常・消化管潰瘍・循環器系合併症・慢性感染症など様々であり,特に高齢者では骨粗鬆症やステロイド性高血圧などが大きな問題となる18),しかし,脳神経外科疾患とステロイド依存性大腿骨頭壊死との関係については数例の報告があるのみで,今まで注目されてこなかった2,7,15).当院整形外科では1985-1997年迄の間に特発性大腿骨頭壊死症例250例を経験しているが,内11例が脳神経外科治療で投与されたステロイドが原因と考えられる症例であった.さらに,11例中6例は下垂体近傍腫瘍の症例であり,下垂体機能低下に対してのステロイド補償療法が行われていた.今回われわれが検討した大腿骨頭壊死症例は,従来考えられていた頻度よりも高いものと考えられる.脳神経外科領域で経験されるステロイド依存性大腿骨頭壊死,特に下垂体近傍腫瘍に対するステロイド補償療法の合併症としての大腿骨頭壊死について,治験例を踏まえて検討してみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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