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症例
脳内出血を繰り返した多発性転移性脳腫瘍の1例
著者: 石井尚登1 安本幸正1 鈴木一成1 熊巳一夫1 村村耕三1 望月衛2 小島英明3
所属機関: 1松村総合病院脳神経外科 2いわき市立常磐病院病理科 3東京都神経科学研究所臨床神経病理学研究部門
ページ範囲:P.535 - P.539
文献購入ページに移動脳内出血の原因は高血圧症,脳動脈瘤,脳血管奇形,血液疾患など多様であるが,脳腫瘍が出血の原因であることは少なく,剖検では0.9-9%7,9,11),CTで診断された脳出血の中では2-6%5,14)である.画像診断で脳腫瘍が見出されない場合は,発症時に出血の原因が脳腫瘍であると診断するのは難しく10),特に,出血が高血圧性脳内出血の好発部位にある症例では困難である.今回,脳内出血が異なる部位に短期間に繰り返し起き,入院後3カ月のCTで転移性脳腫瘍が強く疑われ,剖険所見から肺癌の脳転移と診断し,腫瘍細胞塊の血管内塞栓による血管破綻が繰り返す脳内出血の原因であったと推察される症例を経験したので,若干の考察を含めて報告する.
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