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症例
開頭にて頭蓋内静脈から塞栓術を行い,良好な結果を得た海綿静脈洞部硬膜動静脈シャントの1例
著者: 吉野公博1 安原隆雄1 日下昇1 中川実1 寺井義徳1 藤本俊一郎1
所属機関: 1香川労災病院脳外科
ページ範囲:P.639 - P.645
文献購入ページに移動近年,海綿静脈洞部硬膜動静脈シャント(caver-nous dural arteriovenous shunts以下CdAVSと略す)(いわゆる硬膜動静脈奇形,あるいは,硬膜動静脈瘻)の治療は,第一選択として経静脈的塞栓術が施行されることが多いが,経静脈的塞栓術の際のアプローチのルートの選択は,個々の症例のvenous drainageの形態によるところが大きい.大腿静脈(femoral vein:FVと略す)から下錐体静脈(inferior petrosal sinus:IPSと略す)や時に上錐体静脈(superior petrosal sinus:SPSと略す)を経由し,海綿静脈洞(cavernous sinus:CSと略す)に至るルートや眼瞼を切開し上眼静脈(superior ophthalmic vein:SOVと略す)を直接穿刺して行う方法が一般的である3,6,9,11,12).しかし,時に頭蓋外静脈からのアプローチが困難となる症例に遭遇することがある.今回,頭蓋外静脈からのアプローチが困難となった症例に,開頭による頭蓋内静脈からのアプローチにて塞栓術を行い,良好な結果を得たので症例を呈示するとともに特に頭蓋内静脈からのアプローチの有用性や問題点について報告する.
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