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研究
破裂脳動脈瘤術前後の大脳半球の脳代謝および高次脳機能の変化—1H-MR spectroscopyおよびWAIS-Rを用いた検討
著者: 小林正人1 高山秀一1 菅貞郎4 岡崎晶子3 美原盤2
所属機関: 1美原記念病院脳神経外科 2美原記念病院神経内科 3美原記念病院言語治療 4慶応義塾大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.691 - P.698
文献購入ページに移動近年,MR装置の進歩や脳ドックの普及に伴い,破裂以前の脳動脈瘤の診断率が向上し,未破裂脳動脈瘤の手術件数が各施設で増加している.未破裂脳動脈瘤の開頭による根治術は,手術の適応基準,手術法および注意点などについて様々な報告があり,ほぼ確立されつつある.開頭術に伴うmorbidityは3-5%とされており,安全に遂行される手術と考えられている.しかし,このmorbidityは主に神経学的あるいは神経放射線学的視点からの検討であり,高次脳機能の変化は考慮されていない.従来,くも膜下出血後の高次脳機能や脳循環代謝に関する研究4,7,9,10,20)は散見されるが,未破裂脳動脈瘤術後の高次脳機能や脳代謝物質の変化に関する報告2)は少ない.未破裂脳動脈瘤の手術はあくまで予防外科である.今後も増加するであろう未破裂脳動脈瘤術後の評価には,高次脳機能や脳代謝についての検討も必要であると考えられる.
今回われわれは,未破裂脳動脈瘤患者に対し,手術前後にWechsler Adult Intelligence Scale re-vised(WAIS-R)13,19)およびmagnetic resonancespectroscopy(MRS)を計測し,本手術が高次脳機能および大脳半球の脳代謝に与える影響について検討したので報告する.
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