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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科28巻8号

2000年08月発行

文献概要

研究

脳虚血病変精査中に発見された未破裂脳動脈瘤の治療選択と合併症

著者: 松本勝美1 赤木功人1 安部倉信1 坂口健夫1 田崎修1 富島隆裕1

所属機関: 1阪和記念病院脳神経外科

ページ範囲:P.699 - P.703

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I.はじめに
 未破裂脳動脈瘤の外科治療において,脳虚血病変の有無は,動脈瘤の部位,サイズおよび年齢と並んで重要なリスクファクターとなっている6).脳虚血病変を合併した未破裂脳動脈瘤の直達手術の成績は合併症を有しない成績に比べ悪く,Wirth(1983)らの報告ではsurgical morbidityは11%で14),瀬川(1987)らの報告では27%13),小松(1994)らの報告でmorbidity,mortality併せて11.3%7),斉藤(1996)らの報告でも28%と11),種種の手術手技の向上にもかかわらず,成績はこの15年間改善していないのが現状である.一方1998年に発表された未破裂脳動脈瘤のInterna-tional Studyでは,くも膜下出血例を除いた未破裂脳動脈瘤のうち,サイズが10mm以下では破裂率が年間0.05%であるという結果が報告された13).この未破裂脳動脈瘤の自然経過については種々のバイアスが作用しているものの,今後の手術適応についてはきわめて慎重に決定しなければならないことを示唆している.筆者らは脳虚血病変を有する未破裂脳動脈瘤症例を年齢や脳血流,術前ADLなどをもとに治療の選択をした.手術合併症をきたした例をもとに脳虚血病変を有する未破裂脳動脈瘤の手術適応とその限界について考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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