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症例
親動脈の近位閉塞が奏功せず瘤内塞栓を含めた親動脈遠位閉塞術を追加した部分血栓化巨大椎骨脳動脈瘤の1例
著者: 加藤徳之14 江面正幸1 高橋明2 吉本高志3
所属機関: 1広南病院血管内脳神経外科 2東北大学大学院神経病態制御学分野 3東北大学脳神経外科 4筑波大学臨床医学系脳神経外科
ページ範囲:P.817 - P.822
文献購入ページに移動椎骨動脈の部分血栓化巨大脳動脈瘤は緩徐に進行し,くも膜下出血,ならびに腫瘤としての脳幹圧迫症状などを呈し,その形状,発生部位から従来治療困難な動脈瘤と考えられている.部分血栓化巨大脳動脈瘤の治療として従来の外科的近位動脈クリッピング,トラッピング,動脈瘤切除術,ラッピング,バイパス術1,2,16)から血管内手術手技によるバルーンを用いたトラッピング,近位動脈閉塞3,5,8,9),コイルによる近位動脈閉塞や瘤内塞栓などにて治療が行われるようになり6,7,15),単独ならびに直達手術との組み合わせ10)にて近年良好な成績を示したとする報告が散見されるようになった.部分血栓化動脈瘤の根治的治療は動脈瘤を体循環から完全に隔離することであり,近位動脈閉塞のみでは不完全である.このような治療後に再増大を来し再出血または腫瘤増大による脳幹圧迫症状が認められることがある4,14).また動脈瘤の自律的な増大を来す傾向があり,通常の嚢状動脈瘤と異なり瘤内に完全にコイル塞栓を行ったのちでもコイルが器質化した血栓の中に迷入することがしばしば観察される4,8,14).
今回われわれは,部分血栓化椎骨動脈瘤に対して近位動脈クリッピング施行後2年の経過にて増大を認め,動脈瘤による脳幹圧迫症状を呈した症例を経験し,Guglielmi Detachabre Coils(GDCs)による瘤内塞栓を含めた親動脈遠位閉塞術にて良好な結果を得ることができた.
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