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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科29巻1号

2001年01月発行

文献概要

読者からの手紙

大腿動脈経由カテーテルアンギオ後の圧迫帯使用時間について—1時間後除去連続120症例の検討

著者: 作田善雄1 朽木秀雄1

所属機関: 1長井市立総合病院脳神経外科 2公立置賜長井病院脳神経外科

ページ範囲:P.91 - P.91

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 アンギオ穿刺部に圧迫帯を用い,6時間程度の絶対安静臥床を保つ医療行為は,カテーテルアンギオ後の止血処置として一般的に行われ常識となっている.しかし最新の器具を用いた症例では,圧迫帯がよく固定されずに緩んでいた場合でも,大血腫の形成や体外へ出血した等の危険な事態に遭遇したことは一度もない.そこで平成12年3月から6月までに行ったカテーテルアンギオ連続120症例(男性57,女性63,平均年齢60.5)につき,1時間後に圧迫帯を除去し,寝返り起座を自由とし,3時間後に歩行を許可し観察してみた.後出血に関係するかもしれない要素として,出血時間(5分以上5例,平均2分),血小板数(10万以下2例,平均219万〉,アンギオ継続時間(最長88分,平均36分),シース(5Fr)抜去後の止血時間(10分以上,5例),治療中の薬剤(アスピリン,チクロピジンの内服8例,オザグレルナトリウム,低分子デキストラン点滴7例),早期歩行(3〜6時間以内53例)等につき検討した.その結果,動脈硬化の高度な例やアスピリン,チクロピジン内服例にシース抜去後の用手止血時にやや血が止まりにくい傾向を示したものの,圧迫帯1時間除去以後に大きな血腫を形成した症例や体外へ出血した症例は皆無であった.心カテ後の肺塞栓症についての報告によると,心カテの内容,時間,心機能等に関係なく,穿刺部の圧迫や長時間の安静臥床が肺塞栓形成に密接に関与していることが分かる1)
 昔のカテーテルは手作りの粗悪なものであった.穿刺挿入部の血管壁損傷は甚だしく,止血に苦労したことを記憶している.しかし現今のイントロデューサーは非常に精巧に作られており,挿入時の抵抗は少なく,血管壁損傷も以前とは比較にならないほどわずかなものとなっている.したがって止血圧迫帯は1時間装着で十分であり,長時間の絶対安静臥床は,精神的肉体的苦痛,肺塞栓症の合併などを考慮すればむしろ禁忌と考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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