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研究
新しいmechanical detachable coilの脳血管内手術における有用性
著者: 杉生憲志1 勝間田篤1 日下昇1 中嶋裕之1 大本堯史1 RÜFENACHT2
所属機関: 1岡山大学医学部脳神経外科 2ジュネーブ大学神経放射線科
ページ範囲:P.933 - P.940
文献購入ページに移動Electrolytically detachable platinum coil(Gu-gulielmi Detachable Coil:GDC, Target Thera-peutics社製)の開発により脳神経領域,特に脳動脈瘤に対する血管内塞栓術はより安全・確実に行えるようになった2-4,7,8).GDC出現以前に脳血管内手術領域で使用されてきたいわゆるフリーコイルは,一度マイクロカテーテルから血管内ないし動脈瘤内に挿入されると,簡単に回収ができないという大きな欠点があった1,6,7).これに対してGDCは瘤内に挿入して位置が不適当であれば回収あるいは再挿入が容易に可能であり,位置が適切であれば通電により安全に切り離すことができるという特徴をもつ3)上このため,GDCを用いた脳神経領域の血管内治療は世界中に急速に普及している2,7,8).それでもなおelectrothrombosisによる不確実な血栓形成や,切り離しに時間がかかることによるembolic complicationの問題5),さらに価格の問題等が指摘されている.
通電によらない機械的な切り離し方式を採用したmechanical detachable coilとしてInterlockingDetachable Coil(IDC, Target Therapeutics社製)やMechanical Detachment System(MDS, Balt社製)が入手可能であるが,安全性や切り離しの信頼性に問題が残る6,7).日本でもGDCの普及により,これらmechanical detachable coilは使用頻度が減少してきている7).今回,われわれは新たにプラチナ製mechanical detachable conとして開発されたDetach Coil System(DCS, WilliamCook Europe社製)を脳神経領域の血管内塞栓術に使用したので,その経験を特にGDCとの比較検討を加えて報告する.
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