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症例
海綿静脈洞および後頭蓋窩に発生した多発性硬膜動静脈瘻の2例—症例報告および文献的考察
著者: 藤田敦史1 中村貢1 玉木紀彦1
所属機関: 1神戸大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.1065 - P.1072
文献購入ページに移動硬膜動静脈瘻(以下DAVF)は横・S状静脈洞,海綿静脈洞(以下CS)に好発し15),そのほとんどは単発病変で多発性に発生することは稀である3).発生機序としては後天的要因が考えられているが,いまだ正確な発生機序が解明されておらず,多発性DAVFに関する報告も少ない2,3,5,8-10,12-14,16-21,26).これらの報告の中には,同時期に多発病変を診断した症例以外に,一病変の治療後に遅発性に他病変が発生した症例を含んでおり,これらを多発発生とすべきか再発とすべきか報告者により統一されていない.われわれは,CSおよび後頭蓋窩それぞれにDAVFを認めた2症例を経験した.これらの症例は多発病変を同時に診断した症例と,遅発病変が反対側に発生した症例であった.2症例を呈示するとともに,これまでの多発性DAVFの報告例を検討し文献的考察を加える.
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