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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科29巻11号

2001年11月発行

文献概要

症例

再発悪性神経膠腫へのbradykininを併用した化学療法の1臨床治験例

著者: 稲村孝紀1 池﨑清信1 廣川詠子1 河村忠雄1 吉浦敬2 三原太2 末安正典4 入田和男3 高橋成輔3 福井仁士1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院脳神経外科 2九州大学大学院医学研究院放射線科 3九州大学大学院医学研究院麻酔科蘇生科 4九州大学医学部附属病院薬剤部

ページ範囲:P.1107 - P.1113

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I.はじめに
 脳実質内に発生する悪性神経膠腫は,脳内に浸潤性に発育するため,手術で全摘出することは不可能である.初期治療として手術による腫瘍容積の減量,放射線治療,化学療法が行われており,初期治療は一定の腫瘍増殖抑制効果を示すが,ほとんどの症例で一定期間を経た後に再発・再増大(以下再発と称す)がみられ,再発からの生存期間は短く極めて予後不良である7)
 悪性神経膠腫再発時の治療は,ガンマナイフを含めた追加放射線治療や化学療法が行われているが,現時点では完全寛解や治癒せしめる方法はない.われわれは1990年代初頭より化学療法の効果を増強するために,血管透過性亢進物質を併用した化学療法の研究を進めてきた8-10,12-14).2001年2月に九州大学大学院医学研究院の倫理委員会での承認が得られ,bradykininを併用した化学療法の臨床治験を開始した.このたび第1例目の治療を行ったので,その経過および早期治療効果を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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