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総説
経頭蓋的磁気刺激
著者: 藤木稔1 古林秀則1
所属機関: 1大分医科大学脳神経外科学教室
ページ範囲:P.1127 - P.1134
文献購入ページに移動I.はじめに
1.生体磁気科学と非侵襲性
近年,磁気を応用した生体情報,特に中枢神経系の解析が長足の進歩を遂げている.MRIは形態的評価に加え,運動,感覚,言語などの大脳機能局在を同時に描出するfMRIとして応用範囲を広げている.一方,神経細胞に発生する興奮性後シナプス電位に由来する微弱な磁界を頭蓋外より非接触的に感知する脳磁図MEGは,ミリセカンドオーダーの優れた時間分解能を有し,脳内情報処理過程および発火ニューロンの局在・方向性を論じることができる点で有用である.
経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic sti-mulation)は,電気・磁気の強度の差はあれ,MEGとは逆の関係で大きな変動磁場を体外から生体に印加することで生体内に生じる渦電流がニューロンを発火させる.本法は,元来中枢運動機能評価法として開発され,その後急速に普及した.この方法が受け入れられた背景には不可能と考えられていた運動野の刺激を簡便かつ非侵襲的に行うことができるという利点がある.生体磁気計測であれ磁気刺激であれ,その非侵襲性こそが磁気を用いることの最も優れた利点である.
1.生体磁気科学と非侵襲性
近年,磁気を応用した生体情報,特に中枢神経系の解析が長足の進歩を遂げている.MRIは形態的評価に加え,運動,感覚,言語などの大脳機能局在を同時に描出するfMRIとして応用範囲を広げている.一方,神経細胞に発生する興奮性後シナプス電位に由来する微弱な磁界を頭蓋外より非接触的に感知する脳磁図MEGは,ミリセカンドオーダーの優れた時間分解能を有し,脳内情報処理過程および発火ニューロンの局在・方向性を論じることができる点で有用である.
経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic sti-mulation)は,電気・磁気の強度の差はあれ,MEGとは逆の関係で大きな変動磁場を体外から生体に印加することで生体内に生じる渦電流がニューロンを発火させる.本法は,元来中枢運動機能評価法として開発され,その後急速に普及した.この方法が受け入れられた背景には不可能と考えられていた運動野の刺激を簡便かつ非侵襲的に行うことができるという利点がある.生体磁気計測であれ磁気刺激であれ,その非侵襲性こそが磁気を用いることの最も優れた利点である.
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