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報告記
第12回世界脳神経外科学会
著者: 堀智勝1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1222 - P.1223
文献購入ページに移動この学会では最も熱いトピックスはもちろん視床下核の刺激療法であった.この領域の先駆者はグルノーブルのBenabid教授である.彼は私がパリ,サントアンヌ病院のタレラック教授のところに留学していた1974年に同病院に1カ月半visit-ing fellowとして来ており,旧交を温めることもできた.彼はその他にも難治性てんかんの視床下核刺激・またシドニーでは側頭葉てんかんに対しての切除ではなく,遮断外科の成績を発表するなど,まさに油の乗り切った今をときめく素晴らしい研究者として自他ともに認められている存在である.ちなみにこのパーキンソン病に対するSTN刺激は,その長期成績(5年以上)とともに本年度のAANSにおけるplenary lectureとして第1番に発表された.その他にてんかんの視床刺激なども報告され,定位学会も今や破壊ではなく,刺激治療が主流を占めるようになったといっても過言ではない.またフランスマルセイユのレジスが行っているガンマナイフによる側頭葉てんかんの治療も注目を集めていた,この分野では医学・工学など学際的な協力がこれからの発展には必須のものと思われた.なおこの学会では群馬大学大江名誉教授が長年の功績を認められ,シュピーゲルワイシスメダルをライチネン教授とともに受けられたのは大変名誉なことと思った.また,世界定位機能神経外科学会の役員が変更になり,大江教授に代わって,Asia-Australasia地区のVice-presidentとして不肖私が推薦され承認された.今後の責任の重さを痛感している.
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