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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科29巻2号

2001年02月発行

文献概要

症例

対側小脳に脳内出血を併発した破裂椎骨動脈解離性動脈瘤の1例

著者: 落合秀信1 山川勇造1 川添琢磨1

所属機関: 1県立宮崎病院脳神経外科 2宮崎医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.169 - P.173

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I.はじめに
 頭部外傷や血液疾患など,出血傾向を伴う疾患に生じる頭蓋内出血を除き,同時期に複数の出血源から頭蓋内出血を生じることは比較的稀である11-13,15,16,19,22).多発性頭蓋内出血としては,脳内出血(以下ICHと略す),くも膜下出血(以下SAHと略す)ならびに硬膜下血腫の組み合わせが考えられる.このうち,多発性脳内出血の報告は散見され,頻度としては全高血圧性ICHの0.7〜2%を占めるとされている15,21).また同時に複数の脳動脈瘤破裂により生じたSAHの報告例もみられるが,これは非常に稀な病態で,これまでに5例の報告が見られるのみである2,5,8,16,17).一方,破裂脳動脈瘤によるSAHと,その動脈瘤と連続性のない部位に生じたICHの併発を論じた報告は,われわれが渉猟し得た範囲内では見られなかった.遠隔部にICHを伴った破裂脳動脈瘤によるSAHの場合,来院時のグレードが良い場合には,通常の脳動脈瘤破裂症例と同様に発症後早期に脳動脈瘤のクリッピング術が行われることが多い.しかしその際,手術操作に伴う頭蓋内圧の変動などにより術中に脳内出血が拡大する可能性がある.今回われわれは,対側の小脳内にICHを併発した破裂椎骨動脈解離性動脈瘤の1例を経験した.本症例を通じて,動脈瘤と連続性のない部位に脳内出血を併発したSAH症例の発症機序や加療における注意点などについて検討したので,文献的考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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