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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科29巻6号

2001年06月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

頸動脈血栓内膜切除術—シャントシステムを用いて

著者: 岡田芳和1

所属機関: 1東京女子医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.497 - P.508

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I.はじめに
 本邦においても,頸部頸動脈の動脈硬化性狭窄病変は,脳虚血発作の主因として注目されるようになってきた.本病変に対する外科的治療法は,頸動脈血栓内膜切除術(Carotid Endarterectomy;CEA)が基本で,randomized studyによるevi-denced based medicineに基いた脳神経外科領域の手術療法である.この結果狭窄度が70%をこえる症候性狭窄病変,また60%をこえる無症候性病変に対するCEAは,内科的治療法よりも脳虚血発作の予防効果が高いことが示唆された9,10,22).この適応は術者に対する厳しい条件(mortality & morbidity:<3〜6%)下で得られた結果であることが重要な点の1つである21).CEAの手技は確立されてはいるが,症例や術者によりいくつかの点で趣を異にしている8,19,27).特に本邦例では高位病変が多いことや頸部頸動脈が細い傾向にあることなど欧米での症例と異なる状況も報告されいる.また潰瘍形成や壁在血栓の有無などの頸動脈壁の性状も手術適応や操作の重要なポイントとなる18).したがって本邦例に適した手術法や手術器具の改良が本邦におけるCEAを成功させるポイントの1つと考えられる.
 本稿では本邦における頸動脈系ならびに頸動脈狭窄病変の特徴を分析し,問題となる高位病変に対し,ルーチンにシャントを用いる手術手技を中心に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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