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研究
骨構造を透視したCT Angiography透過画像による脳動脈瘤構築の解析
著者: 佐藤透1
所属機関: 1医療法人社団涼風会佐藤脳神経外科
ページ範囲:P.517 - P.524
文献購入ページに移動I.はじめに
CT Angiography(以下,CTA)は造影剤増強によるヘリカルCTスキャニングとそれから得られた生体内三次元情報(volume data)のコンピュータ解析により,脳血管病変,特に脳動脈瘤の非侵襲的画像診断法としてその有用性は広く認められている2-8).Multi-detector CTの登場など近年のCT装置や撮像技術の進歩には著しい発展が認められるが2),撮像系から得られた高品質なvolumedataは,コンピュータの画像処理計算能力の限界や操作性の煩雑さからその解析は不十分であったと思われる.しかし,最近のワークステーションでの画像処理技術の革新により,画像解析にvolume rendering(VR)法を使用することで,すべてのvolume dataから関心領域を選択的に抽出し,関心領域の不透明度(opacity)の調整や色付け階調の工夫,さらにはperspective VR法による仮想内視鏡的観察など様々な解析方法を応用することで目的に応じたvolume dataの可視化画像が作成可能となってきている1,4-6).
CTAの情報伝達特性として,脳動脈瘤構築が周囲骨構造との関係において立体的に画像表示できる反面,頭蓋底骨構造近傍の脳動脈瘤では脳動脈瘤構築を隣接する骨構造と分離することが困難な場合があり画像診断上問題となる.今回この問題を解決すべく,volume dataの解析にVR法を使用し,関心領域の選択的抽出とopacityの調整を行うことで骨構造を透視したCTA透過画像を創作した.本稿では,脳動脈瘤構築の解析にCTA透過画像を臨床応用したので,その作成方法を述べ,特に頭蓋底骨構造近傍の脳動脈瘤例における有用性と限界につき報告する.
CT Angiography(以下,CTA)は造影剤増強によるヘリカルCTスキャニングとそれから得られた生体内三次元情報(volume data)のコンピュータ解析により,脳血管病変,特に脳動脈瘤の非侵襲的画像診断法としてその有用性は広く認められている2-8).Multi-detector CTの登場など近年のCT装置や撮像技術の進歩には著しい発展が認められるが2),撮像系から得られた高品質なvolumedataは,コンピュータの画像処理計算能力の限界や操作性の煩雑さからその解析は不十分であったと思われる.しかし,最近のワークステーションでの画像処理技術の革新により,画像解析にvolume rendering(VR)法を使用することで,すべてのvolume dataから関心領域を選択的に抽出し,関心領域の不透明度(opacity)の調整や色付け階調の工夫,さらにはperspective VR法による仮想内視鏡的観察など様々な解析方法を応用することで目的に応じたvolume dataの可視化画像が作成可能となってきている1,4-6).
CTAの情報伝達特性として,脳動脈瘤構築が周囲骨構造との関係において立体的に画像表示できる反面,頭蓋底骨構造近傍の脳動脈瘤では脳動脈瘤構築を隣接する骨構造と分離することが困難な場合があり画像診断上問題となる.今回この問題を解決すべく,volume dataの解析にVR法を使用し,関心領域の選択的抽出とopacityの調整を行うことで骨構造を透視したCTA透過画像を創作した.本稿では,脳動脈瘤構築の解析にCTA透過画像を臨床応用したので,その作成方法を述べ,特に頭蓋底骨構造近傍の脳動脈瘤例における有用性と限界につき報告する.
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