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症例
GDCを用いて腫瘍栄養血管である内頸動脈小分枝の塞栓術を行った錐体斜台部髄膜腫の1例
著者: 勝間田篤1 日下昇1 杉生憲志1 中嶋裕之1 伊達勲1 大本堯史1
所属機関: 1岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.565 - P.569
文献購入ページに移動海綿静脈洞部や頭蓋底部の髄膜腫,海綿状血管腫(髄外),頸静脈グロムス腫瘍等の血管成分の豊富な腫瘍はしばしば内頸動脈の硬膜枝や海綿静脈洞分枝により栄養されている12).このような腫瘍の摘出術に際しては,しばしば大量の出血を伴うため,術前塞栓術を行うことにより出血量を減じ,ひいては手術操作が容易になることはよく知られている11,12).しかし,実際にはこれらの腫瘍の栄養動脈は細い上に屈曲蛇行していることが多く,マイクロカテーテルの操入が困難とされている.またカテーテルの挿入ができたとしても,逆流によって内頸動脈主幹に塞栓物質が迷入する危険性もある2,11).Guglielmiはこれらの分枝に対する新たな塞栓物質としてGuglielmi detachablecoil(GDC)を改良して作成されたGDC crescentを報告している4).このシステムは安全に上記のような分枝を塞栓できるものであるが,現時点では市販化されていない.本稿では,既存のGDCを用いて腫瘍の栄養血管である内頸動脈小分枝の術前塞栓術を行い,有効な塞栓結果を得た錐体斜台部髄膜腫の1例を報告する.
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