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総説
脳血管攣縮における情報伝達の遺伝子発現
著者: 小野成紀1 伊達勲1 大本堯史1
所属機関: 1岡山大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.589 - P.602
文献購入ページに移動脳血管攣縮は教科書的にはいまだ根治方法のない病態の1つとして記載され,そのメカニズムの研究において,病態自体の解剖学的,あるいは部位的特殊性から他の血管生物学的研究に比して一歩遅れをとっている分野といわざるを得ない面もある.また臨床的には予防方法に研究の重点が移行しつつある感は否めない15,53).しかし,血管生物学研究初期の生理学的,薬理学的手法を基とし,その後1980年代以降,種々のアゴニストに対する平滑筋細胞膜受容体,平滑筋張力発生機構の解析,あるいは分子生物学的手法を用いた解析が可能となり,血管平滑筋やヘモグロビンを中心とした,攣縮時の細胞内シグナル伝達や遺伝子発現機構が解明されてきたのも事実である.そこで本論文では,細胞内シグナル伝達に関する最近の知見,並びに現在までに得られた脳血管攣縮時の遺伝子発現の変化や遺伝子治療への応用などについて概説することとする.
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