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研究
低体温療法のリンパ球ならびにNK細胞に及ぼす影響
著者: 斎藤隆史1 大塚顕1 倉島昭彦1 渡部正俊1 青木悟1 原田敦子1
所属機関: 1長野赤十字病院脳神経外科
ページ範囲:P.633 - P.639
文献購入ページに移動近年重症頭部外傷患者などに対し,低体温療法が行われているが,低体温療法において感染症は重大な合併症の1つであり,予後を左右する重要な因子でもある4,10,14).当科では昭和57年より重症脳疾患患者に対しバルビタール療法を行ってきたが,平成6年よりはバルビタール療法に34.0℃前後の低体温療法を併用してきた.そこで感染症の合併に関し検討を行ったところ,バルビタール単独群では,感染症合併率26%であったのに対し,低体温併用群では40%と高かった.また合併感染症の種類も,バルビタール単独群では,肺炎,髄膜炎,カテーテル熱と一般的な感染症が主体であったが,低体温併用群では肺炎,髄膜炎以外に敗血症,肝胆道感染,腎盂腎炎,皮下蜂窩織炎などの普段あまり経験しない感染症の合併が見られ,いずれも重症化していた.このように低体温療法は感染症に対する抵抗力を低下させると考えられるが,その機序に関する報告はない.今回われわれは,長期間の低体温が末梢血リンパ球ならびにNK細胞に及ぼす影響を検討したので報告する.
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