文献詳細
文献概要
症例
Cervical Anginaを呈した頸髄神経鞘腫の1例
著者: 原国毅1 吉井與志彦1 金城竜也1 久志助光1 新垣辰也1 與那覇博克1 鶴嶋英夫1 斉藤厚志1 兵頭明夫1
所属機関: 1琉球大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.641 - P.645
文献購入ページに移動脳神経外科医が,直接胸痛を主訴とした患者を診察する機会は少ない.しかし,胸痛を主訴の1つとしながらも,軽度から高度の後頭部痛や頸部痛を共に訴える患者を診察する機会は少なくはないと思われる.1927年にPhillips7)が,頸髄神経根を圧迫することで胸痛が生じることを最初に報告している.その後,cervical anginaの原因として,頸椎症2,5,6,8)での報告が多く認められる.この胸痛は生命への危険性を有する虚血性心疾患と同様な疼痛を呈することから,心臓疾患による胸痛との鑑別が重要である.頸椎・頸髄疾患による胸痛の機序が種々推測されているが,依然として確固たる解釈はなされていない.今回,左C5後根より発生し,胸痛を呈した神経鞘腫の1例を経験し,胸痛の発生機序とその特徴について,文献的考察をまじえ検討したので報告する.
掲載誌情報